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チューリッヒでドイツ語を学ぶということ

Grüezi mitenand!

チューリッヒでは話し言葉としてスイス・ドイツ語が話されています。

そのため、「チューリッヒで標準ドイツ語を学ぶことは大変なのではないか」 と思われるかと思います。

そこで、ドイツ語を学んでいる私が実際にどう感じているかを紹介しようと思います。


 

①みんな標準ドイツ語を話すことができる。

 スイスに来る前から私はスイスドイツ語の教材を何回か聞いており、その時は標準ドイツ語と全然違うじゃないか!と絶望していました。

中にはスイスドイツ語しか話せないスイス人もいるのではないかと思っていましたが、そんな心配は杞憂に終わりました。


ほとんどの人が、特に学生は100%標準ドイツ語を流暢に話すことができます。

聞いてみたところ彼らは小学生の頃から標準ドイツ語を学んでいるそうです。


また、驚いたことに彼らの標準ドイツ語はとても綺麗で聞き取りやすいのです。個人差はあると思いますが。


なぜだろうと考えてみたところ、スイスドイツ語と標準ドイツ語に大きな違いがありすぎるがゆえに彼らはそれらを別々な言語として捉えているからではないでしょうか。


日本語で考えた場合、大阪弁と標準日本語は多くの人が同じ日本語として認識しているでしょう。なぜなら、大阪の人と東京の人がそれぞれの方言で会話していても、お互いに意思疎通はできるからです。


しかし、標準ドイツ語とスイスドイツ語ではそうはいきません。ドイツ人とスイス人がそれぞれの言語で会話したらどうでしょう。スイス人は標準ドイツ語を学んでいるため相手が言っていることを理解できますが、スイスドイツ語を学んだことのないドイツ人は理解することができません。


このことから標準日本語と大阪弁の違いより、標準ドイツ語とスイスドイツ語の違いのほうがはるかに大きいことがわかります。


スイス人はいわば標準ドイツ語を一種の外国語として学んでいるのではないでしょうか。

正直、ドイツ人が話す標準ドイツ語より、スイス人が話すドイツ語の方が聞き取りやすい感じがします。(あくまで自分の感覚です。)


私が学校で標準ドイツ語を学んでいるように、スイス人も学校で標準ドイツ語を学んでいるのです。このような理由からスイス人の標準ドイツ語は聞き取りやすいのではないかと考えます。


そのため、スイスに留学しようとしてる人はそんなに心配しなくても大丈夫です。

スイス人とドイツ語で話すことはそんなに難しくないです。おそらく。。


また、スイスドイツ語は話し言葉としてカジュアルに使われています。

大学の講義などはスイスドイツ語で行われることはありません。すべて英語か標準ドイツ語です。本などもスイスドイツ語で書かれているものはあまり見たことがありません。


当たり前ですが、スイスドイツ語を話せなくても全然生きていけます。


②やっぱりスイスドイツ語のハードルが高い

私は幸いなことにスイス人の友達と一緒にいることが多いのですが、3~4人グループで話しているときは、途中でスイスドイツ語に切り替わることがあります。

そうなるとやっぱり会話についていけません。


スイスドイツ語を学べるから個人的にはうれしいのですが、会話についていけないとなるとやっぱり悔しい気持ちもあります。


また私がレストランに行った時も、私の見た目がアジア人であるため店に入った時に必ず、「English oder Deutsch?」(英語かドイツ語か?)と聞かれるのですが、チューリッヒの場合「English oder Tüüsch?」と言われます。tüüschとはスイスドイツ語で「ドイツ語」という意味なのですが、初めて聞いたときは違いすぎて何言っているかわかりませんでした。


標準語とスイス方言に違いはあるものの、それをほぼ同一のものとして捉えている人も少なくはないでしょう。私がなまじドイツ語を話せるがゆえに、スイスドイツ語もちょっとならわかるだろと思われているのかもしれません。


スイス人からしたら、たとえ彼らが標準ドイツ語を外国語だと認識していても、当然母語と近しいもののため学ぶのは私のような留学生よりはるかに簡単でしょう。


チューリッヒ大学ではなんとスイスドイツ語を学べる授業があります。

私は今それに積極的に参加し学んでいる途中なのですが、難しすぎて壁にぶち当たっています。具体的に何が難しいのか紹介しようと思います。


1、統一されたルールがない

 スイスドイツ語は話し言葉ゆえに統一された文法がありません。日本の外国語教育を受けてきた私はしっかりとした文法がないと理解することが難しいです。(適当すぎると逆に何したらいいかわからないてきな。。。)

そのため経験がものをいう言語であり、初学者の私には難しすぎるのです。

教科書があまりないのもそのためでしょう。「実際に聞いて覚えろ」ということなのでしょうか。

また、チューリッヒ、ベルン、バーゼルなどの各都市でも微妙に違いがあります。

いま私が学んでいるのがチューリッヒドイツ語です。


2、語彙の違い

 同じドイツ語と言っても標準ドイツ語とスイスドイツ語には大きな差があります。

ここではいくつか紹介しようと思います。

例)標準ドイツ語-スイスドイツ語

・nicht-nöd

・sehen schauen-luege

・auf wiedersehen-uf wiederluege

・echli-ein wenig

・öppis-etwas

などなどいっぱいありますが、御覧の通り大きな違いがあります。

またドイツ語の動詞の原形はすべて-enで終わるというのが特徴的ですが、スイスドイツ語派-eで終わります。それに伴い活用変化も特徴的です。


以下はドイツ語の動詞suchenの活用の図です。


標準ドイツ語

スイスドイツ語

ich

suche

suech(e)

du

suchst

suechsch

er,sie,es

sucht

suecht

ihr

sucht

sueched

wir,sie,Sie

suchen

sueched

こんな感じで変化します。

スイスドイツ語ではihrとwir,sieは同じ複数扱いとして変化は同じになります。

カジュアルに使われるため、簡略化の傾向が見られ、他には1格と4格の区別をしないという特徴や、habe ichがhaniに省略されるなどがあります。面白いですよね。


3,発音の違い

 またスイスドイツ語の発音も特徴的です。

これもまたいくつか礼を紹介しようと思います。

・「ch」の発音

標準ドイツ語では、例えば「ich」(私)や「nicht」(ない)の「ch」が口の前で発音されます。これは[ç](無声音)という音です。

一方、スイスドイツ語では、これがしばしば後ろの方で発音され、[χ](硬口蓋音)になります。この音は、舌の後ろが上あごに接触して、より強い音になります。

スイスドイツ語ではたいていkがchになるので、このchの発音をマスターすればスイスドイツ語を話せるといっても過言ではないです。


スイスドイツ語で最も発音するのが難しいとされている単語があります。それは

chuchichäschtli

です。「小さなキッチン食品棚」という意味ですが、chが頻繁に発声され、アレマン語を母語としない人にとっては難しすぎてジョークとしてよくこの単語が使われます。発音できた人、一緒にスイスドイツ語を学びましょう!


・母音の長さ

しばしばスイスドイツ語の母音は短く発音されます。

例えばholenは「ホーレン」と発音するのですが、スイスドイツ語ではholeで「ホレ」と発音します。他にはNudeln「ヌューデルン」がNudle「ヌュッドレ」になります。

日本語で発音を表すのは難しいのですが、だいたいこんな感じになります。


他にもたくさん違いがあるのですが、比較的説明が簡単な二つを紹介しました。


以上説明した、統一されたルールがないこと、発音と語彙の違いなどがスイスドイツ語の主な特徴だと考えます。


このようなことを授業で学んでいるのですが、実際にスイスの友達にスイスドイツ語の単語をいっても「なにそれ、そんなん誰も使ってないよ」と言われることが多々あります。


本当のチューリッヒドイツ語をマスターするためにはやはり現地の人との会話が一番であると感じながらも、スイスドイツ語の学習ハードルの高さをしみじみと感じています。


 

すこし難しい話ばっかりになってしまいました。特にドイツ語を全く知らない方には面白くない内容だったと思います🙇


自分は留学を終えるころにはチューリッヒドイツ語の教科書を日本語で作ろうと思っています。需要がないということはわかっているけれど、スイスドイツ語がやりたくてチューリッヒに来たため、その成果を形に残るものとして作りたいと思ったのです。


まだまだ自分の語学力の道のりは長いけれど地道に頑張っていきたいと思います!!


ではまた!

Schöne!



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